令和4年を迎えて早々、悲しいニュースが入ってきました。
カヤックで釣りに出たまま戻ってこない、というものです。
報道をまとめると、
≪2021年12月30日朝7時、カヤックで神奈川県小田原市の米神漁港から釣りに出かけた男性、西村良太郎さん34歳がそのまま戻らず、乗ってきたと思われる車が1月2日になってもそのままなことから、遭難したものとみて捜索が続いている。(これを書いている1月19日現在、本人が発見されたという報道はありません)
その後、1月4日朝7時過ぎ、西村さんのカヤック本体が無傷の状態で藤沢市鵠沼海岸、引地川河口付近で発見されたが、そのカヤックに持ち物などは残っていなかった。≫
同じカヤック乗りとして考えたいと思います。
連絡手段
選択肢としては
①パーソナルビーコン
スイッチを押せば、必ずヘリが飛んでくるという救難発信機です。ライフジャケットの肩紐に付けられるくらい小さな機械です。
日本でもやっと!使用できるようになった貴重な機器です。これを使っていれば多くのかたが亡くならずに済んだに違いありません。
②国際VHF無線
交信するには国家資格(といってもたいしたことないですけど)が必要になりますが、もし小田原沖から発信したとしたら、三浦半島西岸から東伊豆の漁港、漁船、マリーナの誰かが少なくても受信できていたはずです。
交信するには…と書きましたが、もちろん資格が無くても機器は買えますし、聞くことは自由です。いざとなれば…。
③携帯電話
昔と違い、防水仕様になっているものが多いので大丈夫…なはずですが、大事な通信手段なので防水パックに入れておきましょう。
あとは連絡手段が全滅したとして、発見してもらうためのアイテム。
発煙筒、笛、ホーン、カラーマーカー、ミラーこのうちのひとつでもあれば、発見される確率は高まります。
私は①の購入を迷いましたが、②③と笛で今のところ対応しています。
何はともあれ、事故に遭ったときは連絡手段が最も大切だと思います。
多い荷物の弊害
特に釣りに出る場合のことですが、荷物の多さがトラブルを大きくさせます。
魚探、ロッド(2本以上持って出ることもあるでしょう)、クーラーボックス、小道具がたくさん入ったタックルボックス、まな板、たも網、エサなど。
その中でも、クーラーボックスをカヤックに固定“しないこと”は重要だそうです。
クーラーボックスがカヤックに固定されていると、逆さまになった艇体を元通りにしにくいですものね。がっちり固定せずにロープで繋いでおくようにしましょう。
あと、倒れた場合、船の上に積んでいたものがプカプカ海面に浮くのが想像できます。
その時は自分が遭難するとは思っていないでしょうから、クーラーボックス含め散らばった道具を残らず回収しようと考えるでしょう。自分が船に再び乗りこむことを優先して、荷物は後回しですね。
倒れない工夫と倒れた時のリカバリー
以前も触れましたが、単体のカヤックはとても倒れやすく…本来はリエントリー(再び乗り込むこと)もしやすいものですが、季節は冬、なるべくなら海に落ちたくありませんよね。
ならば、両脇にフロートを付けた腕を出すなどして、倒れない工夫をすべきかと思います。
私が乗っているタンデムアイランドは、両脇に大きいフロートが付いていて、倒れようにも倒れません。(絶対的なものではもちろんありませんが)
暖かく天気がいいときに、倒れた状態から再び乗り込むリエントリーの練習をしておくべきだと思います。私もこれは未遂ですので、ぜひ実施したいと思います。
服装
夏には夏の、冬には冬のかっこをして出ないと結構辛いことになります。山登りの人の話ですと、寒いな、と感じたときはもう遅いのだそうで…。
最近は機能性繊維が普及して、だいぶ快適になりましたがこれも後日体験談を書くことにします。
1人では出ない?
これは忙しい人が多い日本の場合、実際は難しい。役人さんや識者さんはきっとこれを言うでしょうが、なかなか2人以上で同じ海に一緒に出ることって難しいものです。
じゃぁ出るなって?そうはいきません。
でも2人で出ると、これは筆舌に尽くせない安心感があるのも事実です。
近いと思っても泳がない
岸が近いからと決して泳ぐことを考えないでください。
そこは温水プールではありません。風も波も、流れもあるし、すぐ体温を奪われます。
浮いているもの(この場合カヤック)に最後まで体を託すべきです。
天気予報はひとつだけじゃなく
海に出たい日は事前に予報を調べておくべきです。あいにくテレビの情報では晴れか雨かと気温がほとんどで、洗濯物を干すか否かの判断ならそれでいいのですが、海の状況は詳しく教えてくれません。
私は葉山港を主に使っていますので、葉山港のライブカメラの下の予報を頼りにしています。
風向きと強さ、雲の多さ、気温の予報が表示されているのでメインはそれ。あとはWindyというアプリを参考にしています。
遊びに出られる日がそんなに多くないのが日本の相場ですので、せっかく来たのだから…と考えがちです。より良い判断をするため、一つだけでなく、別系統の天気予報も見ておくことをお勧めします。
もっと深い問題
これは書き始めたら長くなりますから別の機会にします。
でも、どうか役人の人たちにはお願いしたい。事故が多いからカヤックにも免許制を導入しよう、とは考えないでほしいのです。
ことなかれ主義の象徴のひとつ船舶免許制度、私はこれが嫌で免許や各種規制にとらわれないカヤックに乗っているのです。
今すぐ免許制度をやめて、自由に適切な講習を受けられる環境にしたほうが良い。
そこでリエントリーの練習をさせてもらえるなら喜んで参加しょうと思います。
この事故の前日、葉山でカヤックをだしていましたが、微風でそんなに言うほど寒くは感じない日中でした。ところが海水が異常に冷たかったのを覚えています。
西村さんが消息を絶った日は前日の予報でも風が強く吹くということでしたので、私はそれを見て海に出ることをやめる決定をしていました。
以前の事故からも勉強しましたが、やはり救助を呼ぶための手段これを1つではなく、2つ以上持つべきだと思います。
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