海上での通信手段(国際VHF無線)の巻

日本はなんでもかんでも免許、免許、免許! 

それも、免許をとるための国家試験、合格のコツは過去問の「ただひたすら暗記」。

「無線工学」「法律」とも、内容の理解はともかく暗記。

 

抵抗しても試験日はやって来るので受験してこのたび合格した。

必要に迫られて取得したものも含めて、これで無線関係だけでも資格は3つになってしまった。

今回取得したのは、第二級海上特殊無線技士

海上で使う「国際VHF無線」を使うためのものだ。

タンカーやフェリー、漁船や軍隊の船だけでなく、たいていのプレジャーボートには、この無線機が取り付けられている。緊急時だけでなく、普段から必要なこともあるからなのだが、それは日本以外での話。

日本でも、この国際VHF無線が以前よりは使いやすくなった。無線で存在を知らせられていれば事故にならなかった海難事故があったからだろう。

 

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   無線機(ハンディータイプ)の例(八重洲無線㈱のカタログから)

とはいえ、海外では資格や高価な無線機を買わなくても、簡単に(比較的安く)使うことができるこの国際VHF無線が、日本では…

試験の申し込みにお金払って

身にならない勉強に時間を使って

免許証を発行してもらうのにまたお金払って

無線局の申請にまたお金払って

(郵政省が認可した)割高な無線機を買わないと使えないのだから、すべての船が装備するに至らない筈だ。実に強固な官制集金システムの弊害ともいえる。

この集金システム、日本にいると感覚が麻痺して気にならないのだが、外国の事情を知ると、とても異様に思える。

 

ニュージーランドで仕事をしていたころ、同じ無線(マリンバンドとも言う)を使うための講習を受けたことがある。

先生1人に、受講生5人。無線機を中心にテーブルを囲む。

 

簡単な世間話をしながら、流れで講習となった。

その場には実際に電源の入った無線機があって、実際の交信や天気概況放送などを聞くことができた。

説明に使うテキストは10ページほどの薄い冊子。

すぐに救助が必要な時は、”メイデイMAY DAY)”

今はそれほどでもないけど、これから緊急事態になる恐れがあるから事前に連絡をとる・・・という場合は、”パンパンPAN PAN)”

救難信号ではないが、安全上必要な通信をする場合は、”セキュリテSECURITE)”を使う

ということを習ったあと、一人ずつ、自分の船の名前、位置(東経何度、南緯何度)が書かれている紙を渡されて、”メイデイ”を(電源の入っていない)無線機のマイクのボタンを押して実際に通信をする練習。

”メイデイ・メイデイ・メイデイ、this is 船名、船名、船名”。

で、しばらく応答を待つ・・・

反応が無いのでまた、繰り返す・・・と、こんな感じ。

次に、応答があった場合のやりとり。

”ポジション○○○east(東経)、●●●south(南緯)、こういう状況で、レスキューが緊急に必要” という内容をマイクを握りしめてしゃべる。

 無線機を使えるようにすることが目的だから、試験は無い。

 

講習の料金は・・・忘れたが、当時の私が払えたのだから、3,000円前後だったんじゃないか。

ニュージーランドの「1時間程度の講習」と、時間も労力もお金もかかる日本の「国家資格」、海の上でどちらが価値を持つか・・・火を見るより明らかだ。 

 【重要】

シーカヤックでは開局申請ができないという記事がネットでは多いですが、どうやら開局できそうです。実際に申請をしますので結果は追って掲載します。