タンデムアイランドとアドベンチャーアイランドにはオプションでスピンネーカーが用意されています。
以前のブログにも書いたように少々工夫は必要ですが、とてもよくできているシステムです。
スピンネーカーの生地は薄く、扱いが慣れてないとすぐ裂けてしまいます。クルーザーでスピンを揚げるとなると、まず1人では無理でしょう。誤まって風を孕んで暴れると文字どおり収拾がつかなくなるのです。
ところがタンデムアイランドではとっても簡単!靴下状のシューターに収納されたスピンはそこから展開されるので、直接セイルに触れずに揚げ降ろしができるのです。オプションの価格は10万円を超えますが、それだけの価値はあると私は思っています。
スピンについては6回目の記事になりますが、今回はバウ プーリートラベラー(bow pulley traveler)について書きます。
艇の尖端とセイルの根元(タック)を結ぶ部分に付いている簡単な装置です。
付属の取扱説明書には上図のように簡単に書かれていますので補足します。
そもそも、このバウ プーリー トラベラーの役割は、スピンネーカーの高さの位置を調整することです。
走ってみてわかるのですが、説明書どおり、スピンのタックが船の尖端にくっついている状態では、まあまあ速いなぁ~程度ですが、このトラベラーを操作してスピンをマストトップまで揚げると、艇速はグンとアップします。
説明書には ”あなたの好みで”セイルの高さを調整して、と書かれていますが、図にあるstopper knot (結び目)を作らない方が良いような感じがします。風の強さや角度に応じて走りながら調整ができるからです。
これは引き続き乗りながら答えを導きますが、間違っていたらまた記事にします。
写真で説明します。
stopper knotを作らないことを前提にしますが、素直にスピンハリヤードを引っ張るとスピンは写真1のようになります。スピンのタックが一番下の位置にあります。
上の写真ではわかりませんが、実はこの状態ですと、スピンのトップはマストトップまで揚がりきっていません。カタログの写真(下)の矢印で示したところを見てください。ちょうどこんな感じです。
この状態でもいいのですが、もっとスピードが欲しい場合は、バウプーリートラベラーを調整してスピンをマストトップまで揚げるのです。
やってみるとわかるのですが、言葉にするとちょっと大変です。
①スピンハリヤードを引いて写真1の状態になったら、
②次に艇の脇を通っているハリヤードを引けば(方向的に言うと後ろから前に引く)トラベラーのブロックが前方へ移動して「同時に」スピンがマストトップに揚がるのです!
スピンがマストトップに揚がって写真2の状態になるとスピンに奥行きができてスピンネーカーらしいシェイプになります。トリムをすると艇速は格段に上がっていることに気付くでしょう。
これはまたの機会に動画で示しましょう。
稚拙な絵で恐縮ですが、しくみを描くとこんな感じです。
上図はカムクリートの後ろからスピンハリヤードをいっぱいまで引いた状態。(前述のごとく、スピンはマストトップまで揚がっていない)
そこから上図の赤い部分を青い矢印の方向に引くことによって、プーリーが前方へ移動し、同時にスピンはマストトップに引き揚がる
あと、写真1、2でメインセイルを小さくしていることに気付きましたか?こうしておけばジャイブも問題なくできるのです。
※stopper knotの失敗談:試しに、と思って、stopper knotをセイルのタックから60cmくらい離したところにつくったところ、タックがそれ以上引き込めず、スピンが高い位置でダボダボの状態に。トリムどころではありませんでした。おまけに一回シューターにスピンを収納してからでないとこの結び目を解くことはできませんでした。トラベラーという名が付いているからには、動かしながら使うものだと・・・思うのです。